この記事では、田辺薬品の2つの戦略のうちのひとつである「よりそう在宅」についてご紹介します。
田辺薬品では個人宅を中心に在宅訪問を強化しています。
今や、月600件ほどの在宅をお任せして頂けるようになりました。ただしスタッフ総勢80名のため、限られた時間の中で訪問をしなければいけません。
そのため、ITツールを駆使して在宅訪問を効率化し、薬局に戻ることなく緊急対応等が出来るような体制を強化しています。
今回は、そんな「よりそう在宅」にこめた想いを、田辺薬品の役員であり在宅立ち上げにも携わっている薬剤師の三田さんにインタビューしてまいりました!
時には友人のように、困った時の相談役として、いつでも手を差し伸べられる距離感でよりそいたい。
Q. 在宅医療に携わるキッカケを教えてください。
家は人生の3分の2ほどの時間を過ごす場所なので、そこには言葉にするのも難しいほど大切なものがたくさん詰まっていると思っています。
その大切な空間に訪問しお薬を届けるということは、患者さまの生活そのものに寄り添っていくことだと考えているので、とてもやりがいを感じています。
ある時、病院に入院している患者さまから「家に帰りたいな…」とぽつりと言われたことが、とても印象に残っています。
住み慣れた家で、いつもの場所で、普段通りの生活を送りながら、治療を受け続けることが出来る…。そんな患者さまの要望を叶えられるのが私の仕事なのだとしたら、「在宅医療」ってとても意味深いものだと感じて、それ以来在宅医療に深く関わっていくようになりました。
Q. 1件でも多くの患者さまにお薬を届けることが大切だと思いますが、効率化など何か意識していることはありますか?
田辺薬品は「まちの調剤薬局」という側面もあるため、限られたスタッフ人員でお互いに協力し合いながら業務を行っています。
在宅訪問も例外ではないので、ITツールを駆使しながら効率的な在宅訪問が出来るような体制を整えています。(※現在、外来・在宅ハイブリッド店舗の府中サウス薬局・中河原店を中心に整備中)
効率的な訪問ルートを事前に自動で組んでもらえるシステムだったり、在宅情報をクラウド化し、最新情報を常に確認できるようにしたり、患者さまの対応タスクをリアルタイムで反映したり。
いざ在宅訪問に出発すると、お互い見えなくなってしまう部分を可視化することにより、アナログでやっていた時よりも格段に情報の行き違いがなくなりました。
また、患者さまの住所変更や駐車場の位置など、個人単位ではなくチームで共有することにより急な対応が入ったときでもスムーズな訪問が出来ています。
田辺薬品の在宅訪問は、担当制ではなくチーム制をとっています。属人化を防ぐことで、「いつでも・誰でも・どんな時でも」よりそう在宅を実現することを目指しています。
様々な視点から患者さまと接することで、チームでの会話の中から新しいアプローチ方法が生まれたりすることもしばしばあります。チーム内で薬剤師としての視野や可能性がもっともっと広がっていけばいいと考えています。
患者さまからも、「あ、今日は三田さんだ!」「次は誰だろう…?」と和やかな雰囲気で、チームの皆を受け入れてもらっていることが、とても嬉しいです。
新人の薬剤師も、「新しい担当さんがんばってね!」と声掛けして頂くなど、すぐに患者さまに受け入れてもらえる環境が整っているので、在宅訪問に挑戦してみようか迷っている方も安心して飛び込んできてください!(実際に、MRから在宅の世界に勇気を出して飛び込んできてくれた薬剤師のスタッフもいます)
また、小児から看取りまで幅広い患者さまに対応するため無菌調剤の完備や、ポンプレンタルサービスなど在宅設備の強化も前向きに行っています。
Q. 多職種とのコミュニケーションはありますか?
在宅訪問には多職種連携も必須だと考えています。患者さまの抱えているお悩みへのアプローチ方法など、職種それぞれの視点で見ることで、課題解決が出来るケースも多々あるからです。
田辺薬品ではドクターや、訪問看護師との連絡ツールも整備しており、密にコミュニケーションを取ることが出来ます。
地域に根差した調剤薬局だからこそ、ドクターとの距離も近く「田辺薬品さんだからお任せしたい!」と有難いことに直々に依頼して頂くことも増えてきました。
在宅に関わる地域のイベントや、オンライン講習会なども積極的に参加しています。
地域の方に「こんなサービスがあったんだ!」と知っていただき在宅の輪がもっともっと広がっていけば嬉しいなと思いますし、多職種のスタッフの方とも近い距離で相談し合うことが出来る関係性なので、患者さまに何かあったときでも迅速に対応することが出来ています。
いざという時に頼って貰えるのも、日々のコミュニケーションがあるからこそだと思っているので、患者さまのサポートを一緒にして下さる他の職種の方にはとても感謝していますし、これからも持ちつ持たれつの関係で、チーム医療の一員として一緒に進んでいきたいと考えています。
Q. 最後に、今後の「よりそう在宅」の展望を教えてください!!
今後特に力を入れていきたいのは、在宅薬剤師の育成を積極的に行っていきたいと考えています。
そのためには私含め、先輩薬剤師が行ってきた「感覚的なもの」を言語化し、誰にでもわかるように可視化していくことが大切だと思っています。
そこでまず始めたのが「他スタッフとの在宅訪問の同行」。薬剤師・薬局パートナー・管理栄養士・本部…職種に関係なく、在宅訪問に実際同行してもらい、在宅薬剤師の振る舞いや、患者様との接し方などを客観的に見て、レポートを書いてもらっています。
そのレポートを基に「在宅よりそい仕組み化ワークショップ」を開き、在宅チームはもちろんですが、他店舗スタッフと話し合いながら仕組み化を進めています。
その言葉を集約し、研修に落とし込むことで「世界に一つだけの在宅研修」を作っていきたいです。
「在宅に挑戦してみたい!」という方がもっと増えていって、適切な研修を受けて安心して現場に立てるようにしたいですし、何よりも患者さまが自宅で何不自由なく過ごせる環境作りをしていきたい。その想いに尽きます。