この記事では、田辺薬品の2つの戦略のうちのひとつである「ヘルスケア薬局」についてご紹介します。
田辺薬品ではただ処方せんを受け取るだけの薬局ではなく、積極的に地域に関わっていって、今すぐ薬局を必要としない方にも健康作りのキッカケを提供出来るような薬局作りを目指しています。
全部で11ある店舗は、それぞれの「店舗コンセプト」を持っています。
店舗コンセプトは各店舗のスタッフで話し合って決めています。普段働いているスタッフが一番体現したい「おクスリ」への想いをのせて、主体的に店舗作りをしていってほしい。実はそんな想いも込められています。
そのため、地域のニーズに合ったヘルスケア薬局を提供出来るよう、日々スタッフ同士「こうしてみたい!」「地域柄この商品置いてみるのはどうかな…?」と積極的に話し合いながら、商品選定や棚つくり、POPの作成、SNSでの広報活動など、日々自分たちのお店を盛り上げる活動を行っています。
決してトップダウンの店舗運営ではなく、地域の方といつも関わっているスタッフが主体的にアイデアを出し合っている点が特徴で、年齢や勤続年数、雇用形態に関係なく、「こうしてみたい!」という気持ちがあれば誰にでもチャンスがあります。
今回は、「薬局ランタン千歳烏山店」と「たなべ薬局久保山店」の2つのヘルスケア薬局の実際の取り組み事例を紹介しながら、『薬局でなぜ野菜を売るのか』そこに込めた想いについてお伝えできればと思います。
◇薬局ランタン千歳烏山店
薬局ランタン千歳烏山店の店舗コンセプトは、『カラダとココロの困りごとを優しく取り除いてくれるカフェのような薬局』
コンセプト通りカフェ風に作られた店舗です。中の待合スペースは電源ケーブルも完備しているので、待ち時間の間、コーヒーを飲んだりPCをしながらまったりとくつろぐことが出来ます。
店内はこだわりの健康食品や、薬膳、飲料が並んでいます。
実際に並んでいる商品は、スタッフが中心となって選定し、しっかりと味見をして納得いくものを置いているので、お客さまに説明するときも自分のおすすめだったり料理への取り入れ方法をお伝えすることが出来るので、寄り添った対応が出来ます。
そして…なんといっても薬局ランタンで目を惹くのが、店頭に並べられた色とりどりの野菜たち!!
当社は「カラダとココロに役に立つ『おクスリ』を丁寧にお届けし、地域のみなさまの健康づくりと安心・安全な生活を支えます」をミッション(使命)として掲げています。
私たちが考えている『おクスリ』とは医薬品だけではなく、健康に役に立つものは全て「おクスリ」と捉えて、薬局作りをしています。
なので、野菜も「おクスリ」と捉えているんです。野菜を起点としたコミュニケーションを取ることにより、本来は薬局に行くのが億劫だった患者さまも、「ついでに野菜を買って、スタッフと話でもして帰ろう!」と前向きに捉えて下さる方が増えてきたんです。
また、野菜の摂取量がわかるベジチェックも常設しています。
野菜を取り入れる前と後、今週は沢山食べてみたけどどうだろう…?と楽しみながら気軽に野菜摂取量を数値でチェックすることが出来るので、薬局に何度も足を運んで下さるきっかけ作りにもなっています。
こうして日々コミュニケーションを取ることで、今まで健康作りに興味が無かった人にも少しずつ健康作りへのアプローチをすることが出来る。処方せんがない方でも、薬局に入るキッカケ作りに一役買っています。
多摩地区で採れる地場野菜は、スーパーには並ばないような珍しい野菜も多数あります。気軽に沢山の野菜を取り入れる習慣をつけてほしいという願いも込めて、店舗では手作りの野菜レシピメモ配布も行っています。
かわいらしい野菜のキャラクターたちも、レシピメモをこういった形にして配布しよう!というアイデアも店舗スタッフ自らが考案して作ったんです。季節のおすすめ野菜によってレシピメモの種類も変わるので、患者さまとの会話のキッカケにもなります。(逆に患者さまから「こんな風にしたら美味しかったよ!」とレシピを教えてもらうこともあるんだとか…!)
管理栄養士のスタッフもいるので、栄養相談に訪れる方もいらっしゃいます。
野菜をはじめ、販売している商品の一つ一つをきちんと理解して、地域の方に届ける努力を日ごろからスタッフ一丸となって行っている薬局ランタン千歳烏山店。
最近では薬膳の取り組みも積極的に行っており、体質や食事の改善など、カラダの根本的なところから健康に向き合う姿がありました。
トップダウン方式でないからこそ、主体的にお店作りに取り組める。そんなこだわりがギュッとつまったカフェのように寛げる空間です。(絶賛、店舗見学も受付中です!)
◇たなべ薬局 久保山店
たなべ薬局久保山店の店舗コンセプトは「ふれあい健康道の駅2.0」
そのコンセプトの通り、道の駅のように気軽に立ち寄ることが出来る薬局作りを行っています。
目指すのは、「地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場」。
地域への情報発信を始め、地域の医療従事者の方々と連携してイベント運営をしたりなど、昔ながらの地域に根差したまち薬局だからこそ出来る取り組みを積極的に行っています。
薬局自体も閑静な住宅街にひっそりと佇む、なんだかほっと落ち着く昔ながらの作りなんです。
今回は、そんな歴史あるたなべ薬局久保山店が今までに取り組んできたことの一部をご紹介しますね!
◆毎週の野菜販売
久保山店では、毎週金曜日を「野菜の日」として野菜販売を行っています。
様子を見ていると、朝から業者さんがトラックで野菜を運んでくるのですが、並べはじめた瞬間から野菜がどんどん売れ始めます…!!(閑静な住宅街なので本当にびっくりしました。)
そしてお客さまとスタッフ同士、「あ!おはようございます!」と挨拶を交わして、「この前こんなことがあったのよ~」という世間話や、「息子がこんなに大きくなりました!」という報告会など、野菜購入きっかけに、コミュニケーションを取る姿をたくさん見ました。
患者さま同士で楽しそうに会話する姿などもあり、まさに薬局が「憩いの場」として機能していました。
薬学的な部分でもメリットが沢山あり、定期的な野菜購入をきっかけに服薬コンプライアンス不良の改善に繋がったりと、何気ない会話の中からこまめに患者さまの様子を見ることが出来るので、「薬局=嫌な場所」というイメージを払しょくする欠かせないツールの1つとなっています。
◆毎月の健康イベント
久保山店では毎月、地域の方のための健康イベントを実施しています。(第4金曜日10:00~)
その名も「とこてく保健室」
地域包括センターの方々と連携し、訪れた方の定期的な健康測定を行っています。
身長・体重・血圧・握力・ベジチェックなどを行い、毎月のお身体の様子に変化がないか、お薬の飲み方に不安はないか、食事で困っていることはないか…など、「健康のお困りごと」を解決するイベントです。
看護師や管理栄養士と多職種で連携し、協力し合いながらイベント運営を行っています。毎月1回顔を合わせて情報共有することで、多方面から地域の方を支えていくことが出来ますし、コミュニケーションの中から見つかるお困りごとを、自分たちの領域で拾い上げていける。
日々の日常から関わっていくことで、地域の方にとって些細なことでも相談できる相手になり、いざという時は切れ目のない医療を提供していくことが出来ると思っています。
◆ギャラリーの展示
久保山店に一歩入ると、一番に目に入ってくるのが手作りの手工芸品の数々。
これらは全部、地域の方や患者さまが作った作品で、展示と同時に販売も行っているんです。
一つ一つじっくりと見ていくと、そのどれもが素敵な作品ばかりで柄も風合いも全てが違う手作りならではのもの。
アートに主体的に関わっていくことで、「次は何を作ろう…?」と創作意欲になったり、ほとんど外に出ずふさぎ込みがちだったけれど、生地の買い出しでバスに乗って外出できるようになったり。
今までは薬局に行くことが億劫だったけれど、久保山店に新作を持っていくことを考えたら薬局に行くのが楽しみになりました、という嬉しい声も頂いております。
またギャラリーを中心にコミュニケーションを取ることで、きちんと薬を服用してくれるようになったり、薬局と患者さまの信頼関係の構築にもつながっているんです。
処方せんがなくても新作のお披露目会をする中で「最近体調はどうですか?」という会話になったり、ご家族のお話になったり。
薬局に行く理由が楽しいものであったら、日常にもっと溶け込んでいける。そんなギャラリーの取り組みでした。
ちなみにギャラリーはスタッフ本人の作品も展示販売されています!
スタッフ自ら楽しみながら参加することで、地域のまちづくりに積極的に関わっていける。枠にとらわれることなく、「こうしたらもっと喜んでもらえるんじゃないかな…?」とスタッフ同士、切磋琢磨しながらお店作りに関わっている雰囲気がそこにはありました。
店内に貼られているPOPや、お知らせなども手作り感満載で、スタッフと地域の方同士で作り上げている薬局という感じがして、とても居心地のいい空間です。
確かに建物自体は古いかもしれないけれど、それすら良い方に転換し地域の方の『憩いの場』に転換していくという発想が素敵だなと思いました。
今回は以上となります!
2つの店舗のアプローチ方法などは違えど、地域の方のために何が出来るかということを考え、実践している。そこに対する想いは共通しています。
今回は野菜やギャラリーの取り組みを紹介しましたが、それだけが正解ではないと思っています。
自分なりの「おクスリ」を探し出して、カタチに出来るように挑戦してみませんか?
田辺薬品のヘルスケアへの挑戦はこれからも続きます。